ニュースリリース
2024.04.15日本のスポーツの過去・現在・未来 座談会~有森 裕子さん、ヨーコ ゼッターランドさんをお迎えして~
この3月まで弊社アドバイザーとしてご協力いただいた有森 裕子さん、ヨーコ ゼッターランドさんと、弊社代表取締役の伊藤 清隆が、日本のスポーツの過去、現在、未来について座談会を行いました。
世界を舞台に活躍されたアドバイザーのお二人より、日本のスポーツが変わっていくためのヒントをいただきました。
進行役は、弊社取締役 宮本 大輔です。
宮本:弊社は日本のスポーツを変えていくことを使命としています。お二人が現役だった頃と比べて、日本のスポーツは変わったと思いますか?
有森さん:私たちが現役の頃は、スポーツをしている人間がスポーツを通して生きていくという未来をまだ描けなかった時代です。アスリートは現役を引退したら日本で指導者になって子どもたちに競技を教えて、という選択肢しかなかった。いまは本人の意思さえあれば、自分の意志で道を切り拓いていけるようにはなりました。ただ、変化をあまり好まず、結局世界で活躍するよりも日本に戻ってきてしまう人がまだまだ多い印象です。
ヨーコさん:私の現役時代には、大半の選手が「現役プレーヤー」でいる年数が短く、所属している企業チームから、他のチームへ移籍することなども考えられませんでした。今ではチームを移籍して海外に行ったり、結婚・出産を経て現役に復帰する選手もいる。それだけでも変わったなと思います。世界で活躍する選手も最近では多くなりましたが、よほどの実力がないと背中を押してもらえない。言葉も文化も異なる環境に身を置き、その中でさらに競争を勝ち抜いていくことは容易なことではありません。「心地よい環境」でプレーし、オリンピックを目指せるのであれば、なかなかその環境を大きく変えるべく、チャレンジする気持ちになることが難しいのかもしれません。
世界に飛び出していく選手をもっと後押ししてくれる環境になればいいなと思います。
伊藤:スポーツと経営には似たようなところがありますね。日本では、新しく何かを始めることに対してわざと蓋をしているように思います。
宮本:有森さん、ヨーコさんは海外で活躍されてきました。海外の事例から学ぶことも多いと思います。海外ではどのようなスポーツ指導が行われていますか?
有森さん:まず、海外には部活動がないですよね。
ヨーコさん:アメリカですと学校部活動が無いことは無いのですが、どちらかといえば主にスポーツクラブがその役割を担っていますね。アメリカの学校部活動では、ボランティアが指導を行っているのですが、働き盛りの世代が指導に携わることは難しく、どうしても指導者の年齢層が指導経験の少ない若い方か、仕事をリタイヤした地域の年配の方になってしまうという課題があります。技術の向上や、コンペティティヴ(競争力)な環境を求めるのであれば「クラブ」での活動が主になる傾向にあります。また「部活動」と「クラブ」のかけもち、あるいは「複数競技」のかけもちをする子どもも多くいます。
伊藤:海外ではボランティアとはいえ手当が出ますもんね。日本は「ボランティア=無償」というイメージが未だに強い。
ヨーコさん:スポーツで良い成績をおさめることが、良い大学への進学につながるひとつの要素となるため、親御さんの過度な干渉や、指導者の行き過ぎ・やり過ぎ、指導の際の暴言の問題はアメリカでもゼロではありません。また、良いコーチのいるクラブに通うにはお金もかかる。ただ、安価にスポーツを楽しむことを目的としたクラブもあるため、環境を選べるという利点はありますね。
伊藤:日本の部活動も移行期にあり、弊社も各自治体と組んで、部活動の地域移行の支援をしています。
有森さん:自治体によっては、部活動の地域移行に聞く耳を持たないところもあるようですね。部活動指導に愛着を持っている先生方の反対が強いとか。
伊藤:学校の先生が無理をしてまで部活動指導に時間を費やすことや、経験のない競技の指導を行っている点が問題。その部分を民間企業が補完し、部活動指導をしたい先生は引き続き指導に携わってもらって、教えた分だけお金をもらえる。それがあるべき姿だと思っています。ただ、部活動の地域移行は「お金のある自治体だからできるんだ」という声も未だに少なくない。
有森さん:日本は、無償でやることが美とされている国ですからね。特にスポーツに関しては、お金の話をすると反発されますよね。
伊藤さん:塾はお金をとっているのに、スポーツは無償で、という考え方が根強いですね。日本におけるスポーツの価値をより高めていかなければなりません。
宮本:最後に、お二人がこれからのリーフラスに期待することを教えてください。
ヨーコさん:アドバイザーとしてご一緒させていただき、改めてスポーツの価値について考える機会を頂きました。たくさんの子どもたちや、子どもを取り巻く家庭、地域が「スポーツをやっていてよかった」と思ってもらえるようになってほしい。リーフラスには、日本のスポーツ環境がより早いペースで変わっていくための大きなムーヴメントを起こし続けて頂きたいと思っています。
有森さん:スポーツの現場って、良くも悪くもスポーツ愛がありすぎることで固定観念にはまってしまい、進化ができていない状況だと思うんです。リーフラスにはそれを打ち破ってほしい。日本の現状を変えていくには時間もかかるし、大変なことだとは思いますが、同じ考えを持つ仲間は周りにたくさんいると信じて改革を進めてほしいなと思います。
伊藤:弊社はスポーツを通して日本の子どもたちの非認知能力を育成していくことで、自分の頭で考え、自分で決断して、自分の言葉を発することができる人材を育成していきたいと考えています。そうした人材が育てば、必ず日本は良くなっていく。今後とも世界的な視野をお持ちのお二人にはぜひご協力いただければと思います。本日はありがとうございました。